福祉サービスの質を向上する

1.「福祉サービスの質の向上」とは何か
福祉サービスの質を向上する要素としては、
A=利用者のサービスに対する質の要求水準 (どうサービスしてほしいか、顧客の願望、顧客満足
B=サービス提供事業所の質 (どうサービスしたいのか、サービス提供目標としての質)
C=サービス提供従事者の質 (どうサービスしたのか、実際のサービス提供の質)
という三点が挙げられ、これらの質の向上によって福祉サービスの質の向上が図られる。
これを数式にしてみると
・A≧B≧C  適正な要求水準ではサービスの質向上、時には顧客のわがままが優先する
・A≦B≧C  安定的な質の向上、長期的・計画的な質の確保
・A≦B≦C  顧客満足、長期的にはサービスの質の低下
・A≧B≦C  サービスの質の低下、不満・苦情

これ以外に、数式的にはありえないがA≧B≧C≧Aという循環的な質の向上が考えられる。


2.福祉サービスの質の向上を図る
(1) 利用者の要求水準を(適正に)向上する
  サービスの質向上のためには、利用者自身が利用している福祉サービスの制度や仕組みを正しく理解していることが前提となる。具体的には
① 制度や利用方法の広報・周知
② サービス機関や社会資源の所在、役割の周知
③ 適度な自己主張
④ 利用のコツ
等を承知しておくことが必要である。
(2) サービス提供事業所の資質を向上する
  事業所の質向上のためには、自分たちの事業所の中長期的な計画の下、どんなサービスをどこまで提供するのか、その目標を定め、それに向かった職員の教育訓練計画策定が必要となる。具体的には、
① 倫理綱領の制定
② 中期計画の策定
③ 必要資質の決定
④ 到達目標の設定
⑤ 訓練カリキュラムの策定
⑥ 教育訓練の実施
⑦ 資格取得者の確保
  
(3) サービス提供従事者の資質の向上を図る
  従事者・職員の資質向上のためには、自分たちは何をする人か、そのためにはどうならなければならないのか、行動のルールはなどを熟知しておかなければならない。具体的には、
① 使命を知り、自ら高まろうとする自己啓発意欲の喚起
② 到達目標の設定
③ 行動指針の制定・遵守
法令遵守の姿勢
⑤ 教育訓練の受講
⑥ 知識技術の習得
⑦ 必要資格の取得