団塊世代の思い

「個別ケア」が現在の特別養護老人ホームにおけるケアの主流になっている。
 介護保険がめざしていたものは「個人の尊厳」と「自立支援」であり、そのためには利用者一人ひとりの主体性や独自性が尊重されないといけない。しかし、老人福祉施設の多くは施設や職員の都合で業務内容や仕事の流れが形付けられていることが多い。滋賀県でも個別ケア推進のために、施設長の理解及び認識強化が必要で、昨年から県下の特養施設長に対して、二日間の『個別ケア管理者研修』受講を義務づけるようになった。
 施設長として職員には常に「利用者主体」「顧客満足」を認識しながら仕事をするように呼びかけているが、意識変革を徐々に進めることは容易ではない。人や世の中は徐々に変わっていくのではなく、あるとき突然大きく変化するものだと私は考えている。特に意識変革では緩やかな変革なんぞありえない。だから、最近は行動を変えることによって意識変革に結びつけることにしている。施設の日課や介護職員の業務は、職員主体で考えられていることが多い。だから個別ケア推進のためには、まず、「日課をなくす」ことから始めようと職員に伝え、2年前から「個別ケア」に取り組み始めたが、牛歩どころか蝸牛の歩みである。
 私たち団塊の世代は、個人主義的傾向がはっきりしており、自分たちが介護老人福祉施設に入所した時には、個室への入所を要求するだろうし、要求をはっきりと自己主張すると思う。介護に従事する人たちには、どうか団塊世代の爺さんたちとうまくつき合っていってもらいたい。